官公庁の電子申請に「代理申請」を

電子申請推進コンソーシアムが実証実験(2003年8月26日)

行政書士など法的専門士業者による代理申請
実証実験の結果公表

官公庁の電子申請に行政書士など法的専門士業者による代理申請を認める必要がある--電子申請推進コンソーシアム(東京都新宿区)は2003年8月25日、建設業許可申請など企業による行政庁への電子申請を円滑に進める場合、申請行為に専門知識が求められるため、専門家による代理申請を前提とした電子申請システムの実証実験結果を公表した。現在検討されている行政庁の電子申請システムに「代理申請」の視点がないことから、実験結果が今後のシステム構築の参考になりそうだ。

岐阜県行政書士会と共同で実施
建設業許可の電子代理申請

実証実験は、電子申請推進コンソーシアムが岐阜県行政書士会と共同で実施し、企業側が行政庁に電子申請する際の課題を検証した。申請件数が多い建設業許可の電子代理申請を想定し、岐阜県知事許可を受けている建設業者8者を対象に実験した。

電子申請は申請当事者自らが申請の前提
行政書士による代理申請の実態

電子申請は申請当事者自らが申請するのが前提にある。ただ、建設業許可のように行政書士が建設会社から委任状を受けて代理申請している実態がある。電子申請推進コンソーシアムは「電子申請分野であっても、法的専門士業社を申請の流れに含めた代理申請を実現させる必要性がある」との観点で実験を試みた。

代理申請システムの安定性や操作性を検証
代理申請の問題点や課題

実証実験では、代理申請システムを採用した場合、申請者側と行政庁側それぞれの観点から、システムの安定性や操作性を検証し、代理申請の問題点や課題を抽出している。

複雑な電子証明書の発行手続き
コスト削減と効率化に期待

代理申請者は「電子証明書の発行手続きが非常に複雑で、管轄窓口も運用経験が少ないため行き違いが多い」と指摘する一方で「電子申請により申請コストの削減と業務の効率化は大いに期待できる」と評価している。

責任所在の明確化

代理申請については「行政書士自身が申請自体に責任を負う覚悟」が必要で、そのためにも申請に関する責任所在の明確化が必要になるとしている。

行政庁
添付書類の削減やデジタルデータ

一方、行政庁側は「添付書類を代理申請者が原本証明する運用には疑問が残る。申請者に二度手間をかけさせることにつながり、添付書類の削減や書類が最初からデジタルデータとしてやりとりできるシステムの構築を望む」としている。

代理申請は好意的に受け止める

代理申請については「最初から専門的な知識をもつ者とやりとりした方が、事務はスムーズに流れるため、好意的に受け止めている」としている。

法的専門士業者側の電子申請スキル

ただ、行政書士など法的専門士業者側の「電子申請スキルに差がある」点を指摘する声もあった。

申請データ形式の「仕様公開」
申請者と行政側の役割分担

実証実験の報告書では、代理申請システムを採用する場合、申請データ形式の「仕様公開」を前提とし、とくに申請情報の仕様を明確化し、申請者と行政側の役割分担を明確化すべきとしている。

実験報告書

実験報告書は、電子申請推進コンソーシアムのホームページに掲載している。

建設業許可、標準処理期間とかい離

麻生総務相が短縮勧告(2004年12月16日

総務省の「行政手続法の施行及び運用に関する行政評価・監視結果」
国土交通省東北地方整備局

建設業許可の標準処理期間と実際の処理期間が乖離(かいり)している事例があることが、総務省の「行政手続法の施行及び運用に関する行政評価・監視結果」で分かった。国土交通省東北地方整備局でみられたもので、標準処理期間が「おおむね120日程度」となっているにもかかわず、最長で1年14日かかった例があった。麻生太郎総務相は、東北地方整備局に対し、処理期間の短縮を勧告した。

行政手続法
申請から処分までにかかる標準的な期間

行政手続法では、民間事業者からの申請が許認可の要件に適合しているかを判断する具体的な審査基準や、申請から処分までにかかる標準的な期間などを定め、公表するよう求めている。

3件で標準処理期間を超過
事業者に支障

東北地方整備局では、建設業許可の継続申請2件、新規申請1件で標準処理期間を超過する例がみられ、事業者に支障が生じたとされている。

1年14日もの期間を要した事例も

その処理期間をみると、継続申請のうちの1件は、申請から許可まで1年14日もの期間を要し、残りの1件は8カ月、新規申請の1件は7カ月3日だった。

東北地方整備局
処理の遅れを認める

その理由について、東北地方整備局は「担当者が少なく処理が遅れ気味であるのは事実」と認めながらも、「申請中に建設業許可の期限が切れても、建設業法では、処分が決定するまでの間は、申請前の許可が有効なので、申請者に不利益は生じないはず」との見解を示している。

許可申請中の証明書を発行

また、「申請者から求められれば説明しているし、営業上必要であれば申請者に許可申請中の証明書を発行している」と説明している。

建設業者の声
依頼主からの信用に影響

ただ、建設業者からは、銀行融資を申し込む際、許可申請中の証明書では足りず、建設業の許可証がないと受け付けてもらえないため、支障が生じたことや、申請を取り扱う事業者(行政書士)からは、依頼主からの信用に影響が出たとの声があがっている。

許可申請の実態

許可申請では、必要書類がそろっていないため、そのやり取りに時間がかかり、処理期間を超えるといったことがあるため、実態を把握する必要がありそうだ。

行政評価・監視結果
15省庁53地方支分部局と26地方自治体を対象

行政評価・監視結果は、15省庁53地方支分部局と26地方自治体を対象に審査基準の設定状況などを調べたもので、自治体の中には、建築行為や道路占有といった許可で審査基準を設定していないところがみられた。

シンポ「『大競争時代』を生き抜く」を開催

全建関係行政書士会と日刊建設通信新聞社(1996年9月3)

大阪市西区の建設交流館
新しい入札・契約制度

全国建設関係行政書士会、日刊建設通信新聞社は1996年8月30日、大阪市西区の建設交流館でシンポジウム「『大競争時代』の建設市場を生き抜く」を共催した。大競争時代に入ったと言われる建設業界で、今後いかに生き抜くかを討議するのが目的。会場には約150人が参加し、5人のパネラーを中心に新しい入札・契約制度、経審改正、合併、経常JVなどに対する具体策が話し合われた。

パネラーは玉置稔近畿地建技術調整管理官など

8月30日は、パネラーとして玉置稔近畿地建技術調整管理官、松尾純大阪府建築部技監、高橋俊雄建設業振興基金構造改善第一部長、岩戸康太郎全国建設関係行政書士協議会副代表世話人、八尾信一全国建設関係行政書士協議会世話人のほか、コーディネーターとして西山英勝日刊建設通信新聞社企画営業総局長が参加。

シンポジウムのテーマ
経審改正の行方、合併・分社化など

シンポジウムは、入札・契約制度の状況、経審改正の行方、合併・分社化、経常JVの活用などの各テーマに沿って議論が行われた。

十分な品質の確保を
技術を柱とした企業評価

その中で、玉置氏は「工事は現場で行う手直しのきかないもの。十分品質の確保に気を使ってほしい。建設省では、価格だけでなく技術を柱とした企業評価を検討していく」と強調。

企業の格付けランク
各企業のアイデンティティーで活躍

松尾氏は「格付けのランクは会社の優劣を示すものではない」とし、「工事ごとの適性を持った会社と考えるべきで、各企業のアイデンティティーで活躍できる道もあると思う」と意見を述べた。

問題提起
建設業許可業者が急増

続いて、岩戸氏は「建設業で許可業者がここ3年で急増していること、技術者の情報整理、特色のある企業づくりの3点」を問題提起した。

入札制度、経審制度
企業評価の公正・客観性を

八尾氏は「日ごろ、中小企業の利益をできるだけ確立したいと経審の点数アップやランクアップを図っているが、企業評価の基準がいいかげんだと困る。入札制度、経審制度は非常に大事な制度であるだけに、公正・客観性をぜひ発注者の方には、考慮してもらいたい」と訴えた。

地道な建設生産システムの確立を

高橋氏は「建設省は、自由な競争を奨励し、制度の改革を行っているが、逆に言えばズルをしている企業は許さないということ。地道な建設生産システムの確立が必要ではないか」と指摘するなど、活発な討議を展開した。

競争参加資格審査をインターネットで受付

建設省が電子申請書類を受け付け(1998年3月12日)

建設関係の9公団・事業団と共同活用
郵政省もインターネットによる受け付けを検討

建設省は、工事の競争参加資格審査について、1999・2000年度の定期審査から従来の文書持参方式に加え、インターネットによる受け付けを始める。同省が電子化された申請書類を一元的に受け付け、建設関係の9公団・事業団と共同で活用し、行政事務の合理化を図る。建設業者にとっては、1つの書類ですべての発注機関、部局への申請が可能になり、事務負担の軽減につながる。従来実施していなかった郵送による受け付けも開始する。同省は、インターネット申請の原則化を視野に入れており、今後、建設業者の利用状況をみながら電子化を推進していく。また、郵政省もインターネットによる受け付けを検討している。

申請方法が3種類に
文書持参方式、インターネット方式、郵送方式

建設省、9公団・事業団の1999・2000年度競争参加資格受け付けでは、各地方建設局、公団の窓口に書類を持参していた文書持参方式に、インターネット方式、郵送方式が加わり、申請方法が全部で3種類になる。

事務負担、人件費などを軽減
コンサルタント、物品などの役務は対象外

このうち、インターネットによる受け付けができるのは工事だけで、コンサルタント、物品などの役務は対象外となる。工事でもJVや事業協同組合などは利用できない。インターネット方式を利用すれば、これまで地建、公団などに申請する場合、各発注機関ごとに必要だった申請書類が1つで済み、書類を持参する必要がなくなるため事務負担、人件費などの軽減につながる。書類の様式も基本的に文書申請と同じ形をとる方針。

各発注機関が該当細区分を組み合わせる

ただ、工種については発注機関により発注(登録)工種が異なるため、申請者が全機関に共通する申請工種(完工高)を細区分ごとに記入し、各発注機関が該当する細区分を組み合わせて使用することになる。

インターネット申請の手順
建設省、各公団のホームページ

具体的な手順は、建設省、各公団のホームページにアクセスして(1)建設業許可番号を入力してパスワードを請求(2)パスワードを入力して入力プログラムをダウンロード(3)入力プログラムを使って申請用データ(申請書類)を作成(4)パスワードを入力して申請用データを送信する。データにエラーがなければ、受付票が電子メールで返信され、各機関ごとに認定通知が郵送されることになる。業者が請求したパスワードは、セキュリティ上の理由から経営事項審査(経審)の住所あてに郵送し、入力プログラムについては、同省がインターネット上で無料提供する。情報の安全性は暗号化機能や認証・改ざん防止機能などで担保する考えだ。

1998年11月1日から対応
経審、建設業許可申請書の写しの添付を廃止

入力プログラムのダウンロード、パスワードの請求は1998年11月1日から対応する。資格審査の申請受け付けは、12月1日から25日までを予定している。今回の定期審査ではこれまで必要だった経審、建設業許可申請書の写しの添付を廃止する。手続きの詳細は1998年秋をめどに決める。

行政書士による代行申請
コンサルタントは対象外

コンピューターを所有していない企業は、行政書士による代行申請も認めるとしている。随時でも受け付るかどうかは未定で、定期審査の利用状況をみて判断する考えだ。公的機関がインターネットで資格審査を受け付けるのはこれが初めてのケースとなる。コンサルタントなどが対象外となることについて、建設省は経審のような企業チェックシステムがないためと説明している。

郵送方式
コンサルタント、物品も対象に

郵送方式は工事だけでなく、コンサルタント、物品も対象になる。郵送方式でも八地建間では事務受け付けの一元化を実施する。

申請受け付け期間

郵送、文書持参方式の申請受け付け期間は検討中で、インターネットとほぼ同時期になる見通しだ。

インターネット方式が可能な公団・事業団
日本道路公団、住宅・都市整備公団など

インターネットによる受け付けができる公団・事業団は、水資源開発公団、地域振興整備公団、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団、住宅・都市整備公団、環境事業団、日本下水道事業団の9発注機関。このうち、首都公団、阪神公団、環境事業団はすでに郵送方式を実施しており、他の公団も現在実施を検討している。島田雄貴

全国建設関係行政書士協議会

1998年度総会開催(1998年9月1日 日刊建設工業新聞)

JR京都駅ビル内のホテルグランヴィア京都
1998年度収支予算案、同事業計画案

全国建設関係行政書士協議会(代表世話人・三佐藤忍氏)は1998年8月29、30の両日、JR京都駅ビル内のホテルグランヴィア京都で1998年度定時総会を開催した。8月29日の総会では、1998年度収支予算案、同事業計画案などを審議、承認。

経審受託推進グループなどの研究発表
拡大世話人会も開催

2日目の8月30日は、情報ネットワークや経審受託推進グループなど五つの研究グループによる研究発表が行われたほか、拡大世話人会が開かれ、組織のあり方や活動方針などについて協議した。

建設関係を専門とする全国の行政書士の組織
建設関係行政書士のプロ集団

同協議会は、建設関係を専門とする全国の行政書士の組織で、建設関係の行政手続きの改善や会員相互の連帯協調を図り、建設行政の推進に寄与することを目的に1992年9月に設立された。1998年で6年を経過し、会員も設立当初の40人から42都道府県の192人に増えている。この間、全国各地でのフォーラムやシンポジウムを開催。経営審査事項の見直し(新経審)に関し、建設省へ3次にわたる提言を行うなど建設関係行政書士のプロ集団として積極的な活動を展開している。

建行協の三佐藤氏

総会で代表世話人の三佐藤氏は、「量から質への転換が叫ばれるいま、わが建行協もその中身が問われている。会員一人ひとりの地道な努力により発言権のある団体に育ちつつあるいま、この“京都総会”が組織論から研修・研さんに軸足を変えていくターニングポイントになることを期待している」とあいさつした。

1999年4月に秋田で「こまちフォーラム」開催
ホームページ開設も

1998年度事業計画では、1999年4月2、3日に「'99フォーラムin秋田(こまちフォーラム)」を開催するほか、ホームページの開設を行う。

許可提言チーム
建設業許可に関する提言

このほか「許可提言チーム」が建設業許可に関する提言を1998年9月下旬に発表する。また、ビジョン委員会で現在、「建行協将来ビジョン」の策定作業を進めている。

建行協への問い合わせ

同協議会への問い合わせは、本部まで。

中小は登録・届出制に

全国建設関係行政書士協議会が提言(1999年9月3日)

国土交通省発足後の許可制度で
入札・契約制度サポート研究会

建設業界を対象にして、経営コンサルタントなどを含めた指導にあたっている全国建設関係行政書士協議会(建行協)は、入札・契約制度サポート研究会を設置し、1999年10月下旬をめどに、建設業の許可制度の在り方について提言をまとめる。2001年1月に発足する国土交通省は、各地域ごとの地方整備局に建設業許可や経営事項審査制度など、これまで本省が行っていた業行政の一部を移管する。この結果、許可の扱いでばらつきが出る恐れがあるため、その対策をまとめるほか、超大手から零細企業までを1つの許可制度でくくるのではなく、中小以下の企業は登録制か届け出制に改めることを、建設省に提案する。

基本問題部会と環境戦略部会
建設関係組織との連携を強化

建行協は、8月28日に開いた1999年度総会で、基本問題部会と環境戦略部会の設置を決めるとともに、建設関係組織との連携を強化するため事務局を設けるなど、建設業を取り巻くさまざまな制度に関する調査・研究に、本格的に取り組んでいくことを決めた。

許可制度や経審制度の在り方

こうした取り組みの1つとして、基本問題部会の下に契約制度サポート研究会を設置、許可制度や経審制度の在り方などについて研究していくことにしたものだ。

都道府県などの入札・契約制度

許可制度の在り方については、すでに提言をまとめており、今回まとめるものは第2次提言ともいえる。会員がほぼ全国を網羅している(会員がいないのは岩手県と山形県)ことから、まず、会員がもっている都道府県などの入札・契約制度に関する情報を集める。

建設業の許可制度の在り方を検討

こうした情報を協議会全体の情報として共有することから始め、改めて、建設業の許可制度の在り方についての検討を進めることにしている。

大臣許可制は不要・28業種の再編を求める
国土交通省の業行政

前回の提言は、大臣許可制は不要で28業種を7、8業種に再編するよう求めたが、今回は、2001年1月に発足する国土交通省の業行政の在り方が中心になる。

国土交通省
地方整備局に新設する地域部

国土交通省は、地方整備局に新設する地域部(仮称)が業行政の一部を担う。建設業の許可、経審制度の業務などが本省から移管される見通しとなっている。

統一的な運用基準を提案
取り扱いのばらつきを懸念

地方整備局に移管されることになっても、許可制度が基本的に変わることはないが、懸念されるのは、局によって取り扱いにばらつきが生じる可能性があることだ。このため、統一的な運用基準などの必要性を提案する。

現在の許可制度
超大手のゼネコンから零細企業まで

もう1点は、許可制度そのもの在り方について。現在の許可制度は、売り上げ1兆円を超す超大手のゼネコンから、1人親方を含めた零細企業や中小企業までを1つの制度でくくっている。

登録制度か届け出制度を提言
規制緩和、手続きの簡素化

研究会では、大手のゼネコンは従来どおり許可制度でいいが、許可業者のほとんどを占めている中小・零細企業は登録制度、あるいは届け出制度で対応すれば済むように提言することにしている。結果的に規制緩和、手続きの簡素化などに寄与するとみている。業行政の先には一般消費者がいることを認識して、それにあったシステムを整備すべきだというものだ。

経営事項審査制度
経営状況の分析(Y評点)

もう1つの研究案件が経営事項審査制度。経営状況の分析(Y評点)を見直した新経審が7月から受け付け開始された。この見直し自体は評価しているが、結果的に完成工事高などのX評点とのバランスが悪くなる可能性があると指摘する。こうした点を中心に議論していく。

1999年10月末をめどに結論

許可制度については1999年10月末をめどに結論を出し、建設省に提言する。

「要許可業者が申請」4割

建設経済研が許可業者調査(2000年4月25日)

元請けからの要請や公共工事受注が要因
行政書士事務所122カ所

建設経済研究所は2000年4月24日、9年連続で増加している建設業許可業者数の増加原因・背景に関する調査結果をまとめた。行政書士事務所122カ所を通じて許可の申請理由を聞いたところ、一定規模以上の工事を請け負っているにもかかわらず、許可を取得していなかった企業の取得が約4割を占めた。元請けからの要請や公共工事受注がその要因だ。許可業者数の増加は、厳しい建設市場を反映して、許可を取得していなかった企業が新たに許可を受けるというケースが多いと考えられる。研究所は建設会社に対するサンプル調査を実施し、さらに原因解明に取り組む。

建設業許可業者数は9年連続増加
建設業法改正による有効期間の延長が一因

建設業許可業者数は1998年度末時点で58万6045業者、1990年度以降、9年連続増加している。1998年度の増加(3.1%増)については、1994年6月の建設業法改正で許可の有効期間が3年から5年に延長した結果、許可失効業者が表れにくくなったことを原因の1つにあげている。しかしそれ以上の原因ははっきりせず、今後の建設投資の縮小が見込まれるなかで、許可業者数増加の解明は業界全体の課題となっていた。

全国建設関係行政書士協議会などに加盟の122事務所
許可手続き代行事務などを行う行政書士

建設経済研究所は、建設業の許可手続き代行事務などを行う行政書士を対象に、調査を1999年1月から12月末にかけて実施した。全国建設関係行政書士協議会などに加盟している122事務所(回収率56.4%)が1999年中に取り扱った新規申請891件(大臣許可19件、知事許可872件)、休止業者211件、廃止業者226件、休止・廃止が明確でない業者81件について調査結果をまとめた。

新規申請の理由

新規申請の理由でもっとも多かったのは、「本来、許可を受ける必要があった者が、新たに許可を取得した」36.1%だった。その要因は「元請けからの要請」(48.1%)、「公共工事を受注するため」(23%)、「公的融資を受けるため」(20.5%)となっている。

許可を取得していなかった企業

次いで「従来、軽微な工事しか請け負わなかった者が許可を取得した」が26.9%、「独立による新会社の設立」が11.3%、「他業種からの参入」が9.1%の順になっており、従来から活動していたが、許可を取得していなかった企業が厳しい市場を背景に、許可を取得する事例が半数を占めている。また工事受注やその他の理由による「分社化」が5.8%、「倒産会社の従業員が新会社設立」が4.8%となっている。

休止・廃止業者、不明確な業者

1999年中の休止・廃止業者、不明確な業者は年度終了時の提出事務取り扱い業者の4.4%で、一定数を占めていることがわかった。

行政書士~あなたの街の法律家

10月は行政書士制度強調月間(2004年9月30日、山陽新聞)

各種手続きや申請の手助け

官公署に提出する書類の作成や、相続手続きなどの権利義務・事実証明に関する書類の作成など、各種手続きや申請の手助けをしてくれる行政書士は、私たちの暮らしに欠くことのできない存在だ。複雑高度化する社会生活の中で、行政書士は「身近な相談相手」「街の法律家」として必要性はますます高まっている。2004年10月1日から1カ月間全国一斉に実施される「行政書士制度強調月間」を機に行政書士について紹介する。

行政書士とは
「行政書士法」に基づいて業務を行う国家資格
「車庫証明」「名義変更」「営業許可申請」「遺産分割協議書」

行政書士は、「行政書士法」に基づいて業務を行う国家資格で、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の3つの書類を作成することが主な業務だ。車を購入したときに必要な「車庫証明」や「名義変更」、商売を始めようとするときの「営業許可申請」、相続手続きに必要な「遺産分割協議書」の作成など、私たちの暮らしに密接に結び付いている。

コンサルティングを含む許認可手続き業務
高度情報通信社会における行政手続きの専門家

業務の内容は、依頼された通りの書類作成を行う従来の代書的業務から、コンサルティングを含む許認可手続きの業務へとより複雑化している。2001年の行政書士法の改正では、許認可申請手続きや契約、その他に関する書類作成への代理権が盛り込まれ、高度情報通信社会における行政手続きの専門家としても期待されている。

広がる活躍の場
著作権登録なども対応

また、インターネットの急速な普及により音楽や文学など著作権に関するトラブルが増えていることから、文部科学省の要請を受け、昨年から著作権相談員の養成を開始。すでに県行政書士会では60人を養成、登録し相談に当たっている。

ADR(裁判外紛争解決手続き)基本法をふまえ
岡山県行政書士会による法学専門講座

さらに、ADR(裁判外紛争解決手続き)基本法が成立すれば、紛争解決に行政書士が参入できるようになることから、岡山県行政書士会では、岡山商科大と協定を結び、同大に行政書士を対象とした法学専門講座を11月、開設。2005年3月まで、憲法、民法などの法律知識の資質向上に努め、町の法律家として実務能力を高める。

活躍の場が広がる行政書士

時代の流れに対応し、さまざまな専門知識を身に付けた行政書士は、市民のより身近な相談相手として、ますます活躍の場が広がりそうだ。

一層の能力アップを~岡山県行政書士会会長 近藤章浩
スペシャリストとしての行政書士

今、私たちを取り巻く生活環境は、大きく変化してきています。「物に対する権利から知的財産に対する権利」へ、また「事前チェックから事後チェック」へと行政の対応も変化してきています。それに加えて「紙ベースからオンライン申請」へと変わり、市民は戸惑っています。まさに行政書士がその“スペシャリスト”としての出番であります。

もっと気軽に行政書士を利用

しかし残念ではありますが、行政書士の存在は希薄であります。2004年10月から始まる「行政書士制度強調月間」を機に、市民の皆さまには「行政書士がどのような仕事をしているか」を是非ともご理解いただき、お近くの『岡山県行政書士会会員』695名を、お手軽にご利用いただければ幸いです。

手ごろで身近な相談相手

私たちはこれからも、皆さま方の手ごろで身近な相談相手として、専門家としての資質の向上を図るため、地元の大学と提携して研修を強化するなど、一層の能力をアップする努力を岡山県行政書士会は実行致します。

電話無料相談会開催
2004年10月の3日間~岡山県行政書士会

全国行政書士制度強調月間の一環として、岡山県行政書士会は「行政書士電話無料相談会」を2004年10月1、4、5日の3日間、開設する。相談会は、10月1日は開発許可など土地有効利用、農地転用、相続手続き、公正証書作成、法人設立、内容証明について。10月4日は自動車登録・車庫証明、交通事故保険金請求、在留許可・帰化申請など入管関係、労働保険関係。10月5日は建設業許可、営業許可など官公署への各種許認可申請手続き、著作権の登録、会計記帳などについての相談を受け付ける。島田雄貴 判決

行政書士電話無料相談会の受付時間

受付時間は午前10時~午後4時まで。専門の行政書士が交代で相談にのる。

岡山行政書士について

行政書士 役割が多様化(2006年9月30日、山陽新聞)

研修積み対応
10月から市民相談センター開設

官公署に提出する書類の作成や、手続きの代理を行う行政書士。身近な遺言・相続や各種契約なども手掛けることから「頼れる街の法律アドバイザー」として知られる。毎年10月1日から1カ月間、全国一斉に実施される「行政書士制度強調月間」を機に、活躍の場を広げる行政書士の仕事について紹介する。

「行政書士法」に基づく国家資格
書類作成のプロ

行政書士は「行政書士法」に基づく国家資格。依頼を受け、報酬を得て、主に官公署に提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類を作成する。

官公署に提出する書類
車の購入時など

官公署に提出する書類には、車を購入したときに必要な「車庫証明」や「名義変更」、商売や建設業を始めようとするときの「営業許可申請」「建設業許可申請」などがある。

権利義務・事実証明に関する書類
相続手続きやクーリングオフ

権利義務・事実証明に関するものには、相続手続きに必要な「遺産分割協議書」、クーリングオフの通知に際しての「内容証明」の作成など、幅広い分野で私たちの暮らしを支えている。

複雑化する行政書士業務
電子申請

その仕事は近年、依頼された通りの書類作成を行う従来の代書的業務から、コンサルティングを含む許認可手続きの業務へと複雑かつ高度化してきている。また、インターネットの普及に伴い、書類を電磁的記録と置き換えた電子申請を行うなど、多様化するニーズに対応している。

岡山県行政書士会
許認可に関するものだけで1万種類超

岡山県行政書士会には723人(2006年5月現在)が登録。許認可に関するものだけで1万種類を超えるといわれる業務に対応するため、会員の研修組織「研修センター」を設けて、日々レベルアップに努めている。

著作権に関するトラブル
「著作権相談員」の養成

また、音楽や文学など、著作権に関するトラブルが増えていることを受けて、2003年から「著作権相談員」の養成に取り組んでいる。これまでに研修を積んだ65人を文化庁に登録している。

無料相談窓口「市民相談センター」
日本司法支援センター「法テラス」と連携

2006年10月1日から、無料相談に応じる総合窓口として「市民相談センター」を立ち上げる。行政書士の仕事を広く知ってもらうとともに、信頼を得ていくことが狙いだ。また、総合法律支援法に基づいて法的トラブルの解決をバックアップする日本司法支援センター「法テラス」が同じく10月から業務を始めることから、連携協力のための窓口の役割も果たす。

無料相談会を実施
岡山県行政書士会館

「市民相談センター」では、岡山県行政書士会館を会場に毎月第1、第3水曜日(午後1~4時)、自動車関係、建設業関係、土地利用関係、民事法務関係の無料相談会を実施する。各分野の専門知識を持った相談員が相談に応じる。

岡山市役所分庁舎で無料相談
他の自治体とも連携

なお、これまで岡山市役所分庁舎(岡山市大供)で「著作権に関すること」(毎月第2水曜日・午後1~4時)、「外国人などの入国・在留に関すること」(第4水曜日・同)の2テーマで行ってきた無料相談も、「市民相談センター」の一環と位置づけて継続する。今後、他の自治体とも連携し、無料相談会の開催場所を増やしていく方針という。

2006年10月2~4日に無料相談会
行政書士制度強調月間

岡山県行政書士会は、「行政書士制度強調月間」の10月2~4日、午前10時から午後4時まで、岡山市表町の岡山県行政書士会館で無料相談会を実施する。

各日のテーマ
土地利用関係、相続・遺言、公正証書関係

テーマは、10月2日=土地利用関係、相続・遺言、公正証書関係▽10月3日=自動車登録、出入国管理関係、労働保険▽10月4日=官公署への各種許認可、著作権、その他。

専門の行政書士が交代で
予約不要

専門の行政書士3人ずつが交代で対応する。同会は「ぜひ気軽に立ち寄って、どんな小さなことでも相談してほしい」と話している。予約不要で相談に応じる。

岡山県行政書士会 近藤章浩会長あいさつ
専門家責任果たしたい

国民の意識が変わってきた。行政も変わりつつある。行政改革、司法改革の後に来るものは、今までの事前チェックより、事後チェックへと行政の対応が変化することである。

事前チェックから事後チェックへ

すなわち、申請、届出という行為は容易になるが、許認可後の行為が違法な状態になると処分されるということである。今までは許認可されにくくして、許認可後は極端な言い方であるが、やり放題という感じがする。

コンプライアンス(法の遵守)とモラル(法律家倫理)

そこで、申請行為の代理人である行政書士は今後、許認可後のコンサルタントとしての役割も果たすことが必要となってくる。そのため、われわれ行政書士会は今、コンプライアンス(法の遵守)とモラル(法律家倫理)を高らかに宣言し、専門家責任をまっとうする覚悟で研修、研究を重ねている。

守秘義務を負ったコンサルタント

行政書士は、法令違反をしない予防的法務の専門家でもあり、守秘義務を負ったコンサルタントでもある。あなたの良きアドバイザーとして身近な行政書士をご利用ください。

岡山県行政書士会

岡山市表町3-22-22